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大好きだぁ!!! [エッセイ]

ようやく、丹沢の山々も色づきだした
やっと、秋。。。
冬を思わせる寒い日もあるけれど
赤や黄色や橙をまとった山を見ると
やはり。。。
「秋が来た!!!」と言いたくなる
MB900228330 (1).JPG
小学生の時
図工の時間に紅葉のスケッチをすることになったことがある
その日は、朝から。。。緊張していた
私には、画才がない
絵は、恐ろしくへたくそだ
図工の時間は、憂鬱そのもの

ましてや、スケッチなんて。。。
illust2861_thumb.gif
幼稚園の時、園庭のスケッチをした
太陽を黄色のくれよんで描いた
みんなに。。。
「なんで、月が出てるの?」
と馬鹿にされた
幼稚園の先生は
「夜の絵を描いたっていいのよ。」
と私をかばってくれたが
なんのことはない。。。
見たままを描いただけだった
空に輝く太陽は。。。
どうやってみても赤ではなかったから
一番近いくれよんは。。。黄色
誓って、月など描いたわけではなかった

おまけに、滑り台を象だと言われ
私は園庭のスケッチの時間に
夜の動物園を想像して絵を描いた園児。。。
ということになった
MB900446274.JPG
以来。。。スケッチは緊張する
今なら。。。
私は私と笑い飛ばせるけれど
あの頃は。。。
みんなと違うことが悪いことのように思っていたから

スケッチを始める前
先生がこう聞いた

「山の紅葉を見て、何を感じますか?」

私は俯いた
絶対聞かれたくない。。。そう思った

「では、春待ちさん。。。
 何を感じますか?」

運の悪さは、天下一品
見事に当てられてしまった
しかたなく。。。答える

「錆びてます。。。」

「えっ?錆びって。。。鉄が錆びる。。。あの錆び?」

「はい。紅葉の色は、錆の色に似ています。」

先生は苦笑いをしていた
おそらく、自分の求めていた答えではなかったのだろう。。。

「そ、そうですね。。。
 確かに錆びた色に似てますね。
 みなさんもそれぞれに感じた紅葉を
 描いてくださいね。」

失敗したと思った
嘘でも、山がおしゃれをしているように感じます。
とか。。。
秋は、山もお化粧をするんだなぁと思いました。
とか。。。
言っておけばよかった

けれど、嘘は苦手だったから。。。
まぁ、仕方がない

問題は、この後だった
その日、紅葉のスケッチのことを気にしすぎて
私は朝から、山ばかり見ていた
そして、山を見るたびに。。。
つい、錆のことを想像した

それで、錆びた鉄の匂いを
ずっとずっと感じ続けてしまっていたのだ

もちろん。。。
そんな匂いがするはずもない

ただ、私の想像力は
五感をも支配する

錆びの匂いは嫌いだ
だんだん頭が痛くなっていて。。。
もう、耐えきれなくなっていた
スケッチするために教室を出た瞬間

・・・吐いた。。。

結局。。。
スケッチの時間は、保健室で寝ていた

もう、描かなくていい。。。

そう思ったら、ピタリと
錆びの匂いはしなくなった

私はたぶん。。。
絵を描くという作業には向いていないのだと
ひしひしと感じた

今は。。。
紅葉を見ても、錆びた匂いを感じることはない

大人になったもんだ(笑)

ただ、私はたぶん。。。
かなり、育てにくい子供だったろうと思う
友達と足並みが揃わない

揃えたいのに。。。
揃えられない。。。

そんなことが、何度も何度もあった
だから、両親には、感謝しきりだ

そうそう。。。
あの時も。。。

幼稚園で黄色い太陽を描いた時も

母だけは。。。わかってくれた

「よく描けたね。。。
 おひさまがきれいだね。。。」

って、言ってくれたもん

あの時は、本当に嬉しくて
わかってもらえて、安心して
泣き出しちゃったっけ。。。

あの母だったから
今、私は何とかここで
こうやって生きてこれてるのかもしれない

あれ?

母の話じゃなかったね。。。
紅葉の話だった

まっ、いいか。。。

私は、紅葉も
もちろん、母も

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おまじない [エッセイ]

歩く私の後を追いかけて
幼い娘が駆けてくる

あっ。。。転んだ

少し驚いて
思わず駆け寄る

「大丈夫?」

私がそう声をかけると
娘は、膝っこぞうを抑えながら

「痛いよ~」

と言って泣き出した。。。



「あらあら。。。可哀想に
 痛いの痛いのあっちのお山に飛んでゆけ!!!」

娘の膝を撫でながら
おまじないをかける

「どう、治ったでしょ。。。」

私がそう言うと
今度は。。。

「それじゃ、お山が可哀想。。。
 それにまだ痛いよ。。。」

と言って、さらに泣き出す……

えっ?それじゃあどうすればいいの???

困った私は仕方なく。。。

「わかった、わかった
 じゃあね。。。
 痛いの痛いの。。。
 ママのところへ飛んでこい。」

娘がキョトンとした顔で
私を見つめている

「イタタタ。。。
 あなたの痛いの、ママのところへ飛んできたよ。」

私は膝を抑えながら
ちょっとだけ痛いふりをする

「ママ、大丈夫?」

心配そうに私の顔を覗き込む娘に
ちょっと罪悪感を覚えながら

「ママは、このくらい平気平気!!!
 痛いのはママの方に来たから
 ほら、もう痛くないでしょ。。。」

と言ってみる
その時、娘はほっとした表情で
こんなことを言った

「うん。。。もう痛くなくなった
 ありがとう、ママ。。。
 今度は私がママの痛いの治してあげるね。」

可愛い小さな手で
必死に私の膝を撫でる娘

とてもとても愛おしかった。。。

kotori03p.png

これは、私の宝物の記憶だ

思い出すだけで、心の底から
何やら温かいものが溢れ出す
そんな大切な大切な記憶

時は流れて

もう娘は。。。
私の後を追いかけてきたりしない

彼女は彼女の道を
彼女の足で歩いていけるようになったのだ

転ぶことだって滅多にないし
おまじないも必要ない

けれど。。。
今は今なりに
娘は傷を負うことがあるって
私は知っている

目には見えなくても
心から血を流していることがあるって
私は知っている

青春。。。

今になってみれば。。。
ただ、懐かしいだけだが
あの頃は、たくさん傷ついたし
涙もした

だから、わかる
わかりすぎるほど。。。

大人になった今の私になら
何を選べば傷つかないですむのか
指し示すことも
もしかしたらできるかもしれない

でも、それを指し示したところで
今の彼女には理解できないだろう

遠い昔の自分がそうだったように

親が教えてあげられることも
確かにたくさんあるけれど

人生の中で
自分自身で困難を乗り越えながら
学びとっていくしかない
そういうこともたくさんあるから

だから、今は。。。

傷つきなさい
そして。。。
それを乗り越えていきなさい

ひとつ傷を負うたびに
きっと娘は強くなる

その強さはきっと
明日の優しさに。。。変わる

だって、人の痛みを知らない人は
他人の痛みも思いやれない

他人の痛みを思いやれるからこそ
誰かに優しくなれるのだから

そうして、ひとつ優しくなるたびに
彼女はもっと強くなる。。。

そうだよね。。。
そうだったよね。。。

みんなそうして
大人になってゆくんだよね

わかってる。。。
わかってるんだけど。。。
そうわかっていても
娘のことは心配だ
危なっかしくて
いくつになっても
つい、かばってあげたくなる

そんなこと。。。
無理なのにね


私には何も言わないが
娘が一人でこっそり泣いている夜

そんな夜は
あの幼い日のように
駆け寄って助けてあげたくなるけれど

もう。。。ママには。。。
かばってあげられる術がない

だから。。。
頑張って乗り越えて
成長してゆきなさい
ママは、いつもここで
見守り、応援しつづけてるから

そして。。。

意味がないってわかっていながら
心の奥でつぶやいているんだ


「痛いの痛いの。。。
 ママのところへ飛んでこい!!!」

あの日みたいに。。。今も。。。必ず。。。

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キリマンジェロの香りに囲まれながら [エッセイ]

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「人生は、コーヒーみたいだな。。。」

学生時代。。。
コーヒーを飲んでいた時
ふと、タケはそう言った

「苦いまま飲む奴もいれば
 砂糖やミルクをいっぱい入れて
 まるで別の味を作り出し
 飲んでいる奴もいる。。。
 一杯のコーヒーを
 冷めないうちに早めに飲み干す奴
 ゆっくり時間をかけて味わう奴
 人それぞれの生き方みたいじゃないか?
 自分の好きな人生を
 好きなように飲んでゆくんだ。。。」

なるほど。。。
と私は思った

さすがにコーヒー好きのタケである
上手いことを言う

「でも、コーヒー豆は
 自分の好みで選べるけれど
 人生はそういう訳にはいかないよ
 生まれた国、肌の色はもちろん
 生活レベルだって
 ある程度きめられた中で生きなきゃならない
 最初から。。。君はモカ。。。
 そして、君はマンデリンね。。。なぁんて
 生まれた時に既に決まっているようなもんだよ。」
MB900215521.JPG
っと。。。私

そんな人生論を語り合うほど
私達は、若かったのだ。。。

まだ、手探りの人生
見えない未来に夢も描けたし
明日を嘆く勇気もあった。。。

「そうだな。。。
 それなら、さしずめ俺は
 キリマンジェロのストレートかな
 苦くて酸っぱい人生。。。」

その時、タケはそう言って笑った
MB900355075.JPG

タケとは、卒業以来
一度も会っていない

先日。。。
偶然、街であった友人から
タケが10年も前に他界していたことを聞いた
あまりにも早い死を聞いて。。。驚いた
交通事故だったそうだ

その夜
私は一人で。。。
キリマンジェロのストレートを淹れてみた
タケは。。。
本当に。。。苦くて酸っぱい人生を
全速力で駆け抜けていったのかもしれない

早くに旅立ってしまったけれど
その人生は。。。
タケの望んだ生き方だった?

コーヒーは。。。
ただ、黒く静かに揺らめくだけで
何も答えない

あたりまえか。。。

学生時代のタケを思い出しながら
一口、コーヒーを飲む

うぇ~。。。

私にはやはり、酸味がきつすぎる

タケが、キリマンジェロを好んだように
私には私の好きな味がある
コーヒーと人生は、好みの味で楽しもう

あの時。。。タケが言っていたように。。。

そんなことを思いながら
私は、コーヒーに多めのミルクを入れた

それからしばらく
タケと。。。ウン十年振りのコーヒータイムを楽しんだ

学生時代の思い出と
キリマンジェロの香りに囲まれながら。。。

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手術前夜~回想記~ [エッセイ]

はじめに。。。

このエッセイは、何年か前。。。のお話
今は、いたって。。。元気ですので
ご心配にはおよびません。。。

病気は、しないのが一番ですけど
ただ。。。
病気になって初めて
自分自身を振り返ったりもするもので

そんな時に書いたものです。。。

喉もと過ぎれば。。。

こんなことを思ったなんてことを
つい忘れて
またまた。。。ずるずると毎日送っておりますが
ひさびさに。。。
日記を整理していて
見つけました。。。

明日は。。。言おうかな

ありがとっ。。。て

そんな気持ちになったので
ここにも載せておこうかと

こういう気持ちは
忘れないようにしないと。。。(汗)






 「手術前夜」


ちょっぴりお腹が痛いので
珍しく病院へ行った。
MB900239657.JPG

驚いたことに

「明日、緊急手術になります。このまま入院して下さい。」

と言われてしまった。

入院準備もしていなかったので、
 
「一度、家に帰っても良いですか。」

と尋ねたら、医師は首を横に振る
 
「なるべく動かないほうがいいので、家へは帰れません。」

とかなりの重症らしい。
病院内の移動さえ車椅子だ。
仕方が無いので、覚悟を決めた
 
「手術に、絶対大丈夫という事はありません。」

あっけらかんと医師は言う。
さっき、難しい手術では無いと言った
その舌の根もかわかぬうちに・・・。
それも又、仕方の無い事なのだろう。
(それでも、絶対大丈夫と嘘でも言われたいものだが・・・)
 
手術前夜。

MB900359059.JPG

見慣れぬ病室でひとり。
言い知れぬ恐怖がやって来る。
麻酔をかけられ眠りについたら
そのまま二度と目覚めない・・なんて事もあるかもしれない。
そう思ったら、色んな事が気にかかる。
 
今日は、娘の遠足だった。
朝、お弁当を持たせて、笑顔で見送った。
MB900421220.JPG
帰宅した時、私が入院した事を知って
彼女は不安な夜を過ごしてはいないだろうか。

私がこのままいなくなったら
放り出したままの洗濯物は誰がたたむのだろう。
(そんな事、どうでもいいのに・・・。)
MB900038670.JPG 

それに、私には伝え残している言葉がある。
今まで思っているだけで
つい言葉にしてこなかった感謝の思いの数々。
照れていないで、言っておくべきだった

「ありがとう」と。

考えている間に、さっきのんだ睡眠薬がきいて
そのまま眠りに落ちて行った。

ハートライン.gif

手術後。
目が覚めた私は
自分の存在にほっとした。

そして思う。

あたらしい日記でも始めようかと。
伝え残したありがとうを綴る為に。
MB900215463.JPG

それは娘が私の元に生まれてきてくれた事に。

それは夫が私の我儘につきあってくれてきた事に。

それは両親が私をとても大切に育ててくれた事に。

それは友人が私の愚痴をずっと聞き続けてくれた事に。

明日という日に
何が起こるかは、誰にもわからない。
伝えるべき言葉は、早めに伝えておくべきなのだ。
だけど、面と向かって言うのは
なかなか照れくさいこの言葉。

なら。。。

今のうちに日記の隅に隠しておく。
これはなかなか、いいアイディア!!!

今回みたいなことが
いつまた、おこらないとも限らない。

私を囲む愛おしい人達にあてて
まだまだ続くはずのこの人生に
後悔だけは残さないように・・・。 


だけどさ。。。
本当は照れずに
目を見て言うもんだよ。。。

ありがとうって。。。

MB900223233.JPG

それもだんだん出来るように
そんな努力もしていかなきゃね。。。

そんなことを思いながら
私は新しい日記帳を買った。

そして。。。とりあえず一頁目に

大きな文字で

ありがとう。。。

と書いた。

精一杯の感謝を込めて。。。

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10秒間の夢 [エッセイ]

生まれた時から
個性的な心臓を彼は持っていた。。。

体育の授業は。。。
いつも見学

運動会の日は
お休み

そのうち、学校へも行けなくなって
入退院を繰り返すうち
やがて、家にも帰れなくなった

彼は。。。ずっと耐えていた
たぶん。。。小さい頃からずっと
耐え続けてきたんだと思う
普段は、弱音も吐かないで
よく笑う奴だった

どうして、そんなに明るくしていられるのか
不思議に思ったこともある
私は、彼は強い人なんだって
そんなふうに思っていたんだ

でも、あの日。。。
彼は、私に言った

お見舞いの花を抱えて
真っ白な彼の病室を訪ねた時のことだ。。。

「花も
 励ましの言葉も
 いらないよ
 
 もしも、僕が可哀そうだと思うなら
 本当に君がそう思ってくれるなら
 僕と代わってくれないか
 ずっとじゃなくていい
 50メートル走る間だけいいんだよ
 小学校の運動会の徒競争みたいにさ
 一度でいいから、思い切り走ってみたいよ
 
 たった。。。50メートルだよ
 たった。。。10秒だよ
 
 人生の中で。。。たった10秒
 懸命に走ることすら
 僕には。。。許されないなんて
 なんだか、不公平だと思わないか?
 
 だから、頼むよ
 ほんの10秒。。。
 僕と代わってくれないかな。。。」


花を抱えたまま。。。
黙り込んでしまった私

「ごめん、ごめん
 冗談だから、気にすんな。。。」

慌てた様子で。。。
そう言いながら、彼は笑った

いつもの笑顔だった

彼は笑ったけど
私は泣いた

何の力にもなれない自分が悔しかった
彼の願いも。。。叶えてはあげられない

しばらく泣き続けて。。。
かえって彼を困らせた
彼を困らせてしまうことを知っていながら
涙が止められなかった

どうしても、止まらなかった

だって、あの時の彼は
走るどころか。。。もう。。。
歩くことさえ。。。出来なくなっていたから

移動は。。。すべて、車椅子

本当に不公平だよ
代わってあげたいよ
走らせてあげたいよ

。。。それが、出来るものなら。。。


あの日。。。
家に帰っても。。。
ずっと、彼のことを考えていた

走りたかったんだ。。。

初めて知った彼の夢は
夢と呼ぶにはあまりに小さく
そして。。。切ない夢だった

夜、眠る前に。。。
私は、神様に祈った
いろいろ考えても
私の出来ることは。。。
祈ることくらいしかなかったから


たった10秒間の自由を。。。
どうか、彼にお与えください。。。


結局。。。私の願いは叶わなかった

たった10秒間の夢も果たせずに
彼は。。。逝った

不公平で苦しいことの多かった彼の人生は
わずか、17年で幕を閉じた

でも。。。
私はこう思うことにしている

彼は、命と引き換えに
永遠の自由を手に入れたんだって

今頃は。。。
きっと自由に
風を切って走りまくっているんだって

誰より早く
そして誰より。。。軽やかに

そうでも思わなけりゃ。。。
どうにも耐えられない

だって、彼は。。。いい奴だったんだ

ほんとにほんとに。。。
いい奴だったんだ
               
         
hana02.gif


今年も彼に会いに行った
それは、彼との約束だから

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桜を見ながら
彼の在りし日の姿を
思い出す。。。

それが、私の役目

桜吹雪の中
一年ぶりの。。。
彼との再会

MB900445202.JPGMB900228310.JPG

今年もあえたね

桜の向こうの彼は
黙ったままだったけれど

17歳の笑顔のままで
私を迎えてくれる

う~ん。。。

あの頃は年上だった彼

今は。。。親子のよう。。。
もちろん、私が母で彼は。。。息子 トホホ(ノ_-;)

歳とらないってずるいなぁ

みっともなくなって。。。
しわが増えて。。。
髪も白いものが目立つようになり。。。
物覚えが悪くなり
いつも体のどこかが痛くて

歳をとるって。。。
切ないことだよね

それでも。。。ね

彼のおじさんになった姿を
見てみたかったと思うんだ

仕方のないことだとわかっていても
それでも。。。ね

彼は、あの日。。。風になって
今もこの大地を全力疾走してるって

そんなふうに思いたいな
そんなふうに思わなきゃ
やりきれないな


「苦しいことの多い人生だけど
それでも生まれてきてよかったと思うよ」

昔。。。
彼がそんなことを言っていたのを
不意に思い出した

不幸ばかりの人生ではなかったんだよね
ちゃんと、幸せだって
たくさんたくさんあったよね

そう信じてもいいよね。。。

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思い出の保存方法 [エッセイ]

ラジオから、懐かしい曲が流れている。。。
これは、レッドヅェッペリンの。。。
「天国への階段」

この曲は。。。
私にとって大切な思い出の曲だ

今も忘れずに
この胸の中にしまってある
まだ10代だった私の
幼く。。。真っ直ぐな。。。
そんな恋の記憶。。。

今日は、そんな。。。
恋の話をしよう


高校1年生の頃
私は、二つ年上の先輩に憧れを抱いていた

学生の頃は
たった一つや二つの年の差でも
大きな違いを感じるものである

高校一年の私にとって
三年生というのは。。。
少し、大人に思えたのかもしれない

同じ軽音楽部に所属していたものの
いつもギターを掻き鳴らす彼を
黙って見ている
ただ、それだけだった

ろくに言葉を交わすこともないまま
一年が過ぎ、彼は卒業

もう会えない

そう思ったとき。。。
何かしなくちゃっと私は思った
このままじゃあまりに。。。
空っぽの恋

振られた記憶すら残らないなんて
切なすぎた

せめて。。。この想いを
形に残そう

そう考えた私は
彼に。。。サインをもらうことを決めた

なぜ。。。サインなのか
あの時の思考回路は
今となっては理解し難いが
とにかく。。。
それはとても素敵なアイディアに思えた

早速。。。
近くの文房具屋に行く
サイン帳というものが
その文房具屋に売っていたのだが
万年金欠病の私には
厳しい金額だった

だいたい。。。
たった一人のサインをもらうのに
何頁もあるサイン帳は必要なのか

こう考えるところは
へんに。。。現実的だった。。。かも(笑)

まぁ。。。そんなことを思いながら
何かないかと辺りを見廻す

目に入ったのは
サイン色紙

これなら。。。安いし
よし。。。これにしよっと

私はそう決めた

サイン色紙を購入して
彼の家へ向かう


急に訪ねていったので
彼は、ひどく驚いていた

あまり、話もしたことのない
高校の後輩だったし。。。

さらに
「サインをいただけますか?」
と色紙を差し出されるという
ほとんどありえない展開

さぞや。。。迷惑だっただろう

今なら、そう思う

でも、あの時

口から飛び出そうな心臓を
体内に収めておくことに専念していた私は

彼の迷惑など微塵も。。。
考えずにいたんだ

それでも、彼は

「いいよ。」

と笑って。。。
快くサインをしてくれる

気味悪がられても仕方がないのに
なんたる優しさ。。。


彼は優しく接してくれたのに

私ときたら
そのあとは。。。もう何も言えず
まるで、そこから逃げ出すように。。。
走って家まで帰ってきてしまった

実に。。。失礼な話だ

ありがとうくらい
言えなかったのか。。。と
後になって、死ぬほど後悔したのは
言うまでもない

とにかく。。。
家に帰りつき
改めて色紙をよく見てみると
そこには。。。

彼の名前となぜか。。。

彼の好きなヅェッペリンの
「天国への階段」という曲名が書かれていた

私がサイン色紙など差し出したものだから
たぶん。。。自分の名前だけでは
余白が多過ぎるし
かといって
あまり、話したことのない後輩に
メッセージなど書けるほど
器用でもなかったのだと思う

彼なりに困って
それで。。。曲名。。。

( *´pq`)クスッ

彼も。。。もちろん私も
まだ。。。幼かったんだなぁ

その夜。。。
私はその色紙を見ながら
「天国への階段」を繰り返し聴いた

その日の自分の勇気にびっくりしながら
そして、消えたくなるほどの恥ずかしさに浸りながら

あれから。。。
ウン十年。。。

今でも「天国への階段」を聴くと
あの時の一途な自分の想いと
例えようのない恥ずかしさが蘇る

あははっ。。。(汗)

思い出し笑いなどする私に

「どうしたの?」

夫が聞いてくる

それはちょっと。。。
答えられないな

だって、これは。。。
私の大切な思い出だもん


ごめんね。。。



まぁ、それにしても。。。


あの色紙を書いてくれた優しい彼と



今、私の隣で一緒にラジオから流れる
レッドヅェッペリンを聴いている人が

同一人物であることは
少し。。。不思議な気がする

夫にはあの時のことは
恐ろしくて聞けない。。。

何を言われるか。。。

わかったもんじゃない。。。

思い出は思い出として
私の心の中だけにしまっておこう。。。

うんうん。。。

たぶんそれが。。。一番素敵な
思い出の保存方法だろうから。。。


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駅伝とマラソンと母の笑顔と。。。 [エッセイ]

年が明けてすぐ。。。
箱根駅伝をテレビで観た
苦しそうだったけど
それでも必死に。。。
それぞれの想いを抱いて走る若者

なんか感動的♪

私は走ることが苦手だ
それは、小さい頃からで
マラソンだって
もちろん。。。大の苦手(笑)

小学生の頃
毎年、マラソン大会があった
MC900343333.jpg
マラソンといっても
校庭を何周か走るもので
いくつかのグループに分かれて
レースは行われていた

すごく速い人のグループ。。。A
まあ速い人のグループ。。。B
普通、もしくはちょっと遅い人のグループ。。。C

そして。。。

走ってるの?歩いてるの?
それとも。。。もしかしたら。。。
止まっているの???と思われる人のグループ。。。D

毎年、私はCグループにいたのだが
一度だけ、Dグループになってしまったことがある

子供の頃から運動音痴
足の遅さには定評があったが
それでも、お情けで?かろうじて。。。
Cグループのビリをキープしていたのに

あの年は。。。
ついにDグループ入りをしてしまったのだ

Dグループは特別枠
ほかの子供たちと一緒に走ると
校庭一周以上の差が開いてしまい
ゴール判定の邪魔になるほど
タイムの遅い児童のグループだった


まさかDグループなろうとは。。。
自分が情けなかった


なんせ。。。
400人以上いた私の学年

その年のDグループは。。。
たった。。。7人

マラソン大会は盛大で
親達もお弁当持ちでやってきていた
ちょうど、運動会みたいに。。。

まずは。。。Aグループ。。。

人とは思えない速さで
校庭を駆け抜けていった

私と同じ人間とは思えない感。。。満載

そして次に。。。Bグループが
校庭を駆け抜ける

Aグループより遅いとはいえ。。。
まぁ。。。私から見れば超人クラス。。。

走る姿も美しい

そのあとは。。。
Cグループのレースが始まる
このグループの人数が一番多かった
観ている親達の数ももちろん多い
気合の入った応援合戦!!!

抜きつ。。。抜かれつ。。。

親達の応援も手伝って
盛り上がることと言ったらこの上ない
まるで。。。
お正月の箱根駅伝のよう(笑)
とっても見ごたえのあるレースである

それから、少し間があって。。。
それぞれにお弁当を食べたあとの。。。

親達の興奮もすっかり冷めたその頃に
私たち。。。Dグループの順番になった

ついに
ワイルドセブンの登場だぁ!!!

7人の走者はみな
走りたくない想いを胸に秘め
スタートラインに立っていた


静まり返る。。。校庭

並んだ7人は
見るからに
明らかに
ほかのグループとは違う雰囲気をかもしだしている。。。

その雰囲気とは。。。フフフッ(¬_,¬)フッ

(ここの描写は、各々のご想像にお任せいたします)

。。。っで。。。
始まったマラソン

ここで、信じられない出来事が起こる

走り始めたら。。。
私がなんと。。。トップになっていたのだ

万年運動音痴の私にとって
体育系の競技でトップになるなんて
人生初!!!

だが。。。
見学していた親達は。。。
Cグループの時とはうってかわって
静かな観戦

まぁ。。。7人しかいないし
そんなもんだよね。。。

もともとこのグループは
ほかの子供たちとは一緒に走れないほど
足の遅い子供たちの
特別枠のグループだもん

なぁんて思いながら走っていたそのとき

頑張れ~!!!

っと、校庭の静けさを壊す
大きな声が聞こえた

見ると。。。

えっ?かあさん。。。

母の目には。。。
今まで見たこともないような輝きがあった
あまりに嬉しそうなその頑張れ~!!!の雄叫びに
私はかなり、ビックリしてしまった

Dグループ。。。

このグループで走るくらいなら
欠場したほうがマシ。。。
とまで言われたマラソン大会

事実。。。私も。。。
休んでしまおうかと
何度も考えた

だが、休むには理由が必要
その理由を思いつかず
仕方なく参加した

せめて。。。
静かに終わってくれと願っていた

もちろん。。。
静かに終わるはずだった

いや。。。
静かに終わって欲しかった

多分、Dグループの7人は
全員。。。そう思っていたはずだ

そんな控えめな私たちを
あんなに目立たせてしまったのが
こともあろうに。。。私のかあさん。。。

恥ずかしいなぁ。。。

心の中でそう思いながらも
途中で止めるわけにもいかず
私は、走り続けた

母の応援の声に
ほかの親達も刺激されたのか
ちらほらと応援の声が増えていく
最後の一周
なぜか。。。
湧き上がってしまった大歓声と
大きな大きな拍手の中
私は見事。。。

一位でゴールしたのだ
MC900222672.jpg
一生に一度
あるかないかの快挙?を達成!!!

思わず照れてしまうほど。。。
すごい拍手の中。。。
私たちDグループの7人が。。。あの校庭を走ったこと
それは、よく覚えている
MC900228613.jpg

あの応援の凄さはなんだったのだろう。。。
っと。。。今でも不思議に感じる

見るからに。。。
運動の苦手そうな児童達が
息を切らし
死にそうな形相で走り続けているのを見て
Aグループの清々しさとは正反対なところにある
頑張りという必死さに
感動を覚えたのかもしれない。。。
なんて考えたりして

マラソン大会の日の夜。。。
私は、母にめちゃくちゃ褒められた

運動会ではいつもビリ…
体育の成績はいつも最悪
その娘が。。。
たとえ、Dグループとはいえ
一位をとったのだ
母にしてみれば
初めて見た。。。トップを走る娘
きっと、よっぽど嬉しかったんだろう

このマラソン大会で
私は。。。知った

一位をとるということは
快感であるということと

母は。。。
私が一位をとると
あんな顔で笑うんだ。。。ってこと

あんな笑顔

あの一回だけだったな。。。
出来の悪い娘だったから(笑)

箱根駅伝を観ながら
母のあの笑顔を
ふと。。。思い出した

なんだか。。。
優しい気持ちになる

大人になった今でも
母のあの笑顔の思い出は
私を暖かく包んでくれる

Dグループの
たった7人の中の一位

そんなどうでもいいような一位を
心から喜んでくれた母

その母の笑顔は
私が愛されて育った証だもんね

それはもしかしたら。。。
今の私にとっても
生きる自信になっているのかもしれない
そんなふうにも思う

改めて。。。母に感謝を。。。
MC900228125.jpg
そして。。。

あの笑顔の思い出を
久しぶりに思い出させてくれた。。。
あの箱根駅伝を駆け抜けた
若い勇者たちにも。。。

感謝の気持ちと。。。
そして、あの必死ながんばりに。。。
あの時、マラソン大会の時にもらった応援の拍手と
たぶん、同じ気持ちの
心からの拍手を送った

MC900228091.jpg

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幸せの香り [エッセイ]

どんな香りが好き?
と聞かれたら、私は迷わず

「カレーの香り」

と答えるだろう。

私にとって、カレーの香りは
幸せの香りなのだ!!!

あの日から。。。ずっと。。。

小さい頃、道に迷ったことがある。
元来、方向音痴の私は、滅多に知らない道を通らない。
通れば必ず、迷子になるからだ。

でも、その日。。。

私は、金木犀のなんとも良い香りに誘われてしまった。
うかつだった。。。
その香りにたどり着いた時
私は見たこともない家の庭先で。。。
迷子としてたたずんでいた。

右も左も見知らぬ風景。
そこがどこなのか、見当もつかなかった。

それでも何とか家に帰ろうと、必死で歩いた。
金木犀の香りがしない方へと向かっていけばいい。
単純にそう考えていた私。


あさはかだった。


香りがする方へ行くのは簡単だったはずなのに
香りのしない方となると。。。かなりの難易度。。。


ずいぶん歩いた。


足は痛くなるし、心細いし
日は傾いてくるし
泣きだしたい気分だった。


少し小高い丘にたどり着いた時
見下ろした町並みに。。。やっと、見覚えのある建物を見つけた。


嬉しかった!!!

その建物を目指して。。。ひたすら走った。


迷子から解放されて、やっと。。。帰宅。
玄関のドアを開ける。
我が家は。。カレーの香りに満たされていた。
その香りを嗅いだ瞬間。。。

ホッとして泣きだす私。

その声に、台所で夕食の準備をしていた母が
びっくりして飛んできた。

「どうしたの???何かあったの???」


母は、私の大冒険を知る由もない。
泣きじゃくるばかりで返事の出来ない私を
ともかく抱きしめてくれた。

母からも、カレーの香りがした。


以来、カレーの香りがするたびに
ほっとするようになってしまった。

だから。。。

私にとって、カレーの香りは。。。幸せの香りだ。
母となった今でも。。。


今夜はカレー。カレー.jpg
夕食の準備をしていると、
娘が香りにつられてやってくる。。。
カレーが大好きな娘の食欲をおおいに刺激したらしい。。。

彼女もとても。。。幸せそうな顔をしている。


私とは、まったく違う理由ではあるが。。。
娘にとってもカレーの香りはたぶん、幸せの香りなのだ。。。


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地球を首にぶら下げて [エッセイ]

気がつけば。。。
お財布の中にお札が一枚も無くなっていた。

「新聞の集金です。」

昨日、そう言って私のお財布の中の最後の千円札を。。。
奪って?行った新聞屋さん。。。

……ご苦労様でした。

なので。。。
今日は何が何でも、銀行に行かなければならなくなった。
そうしないと。。。もしも。。。娘に。。。
参考書を買いたいんだけど。。。
などと言われても、完全にアウト。。。払えない。

親として、そんな情けない事は決して出来ん!!!
(当たり前だが。。。)

朝、だんな様の出勤に便乗して
駅まで送っていってもらった。

せっかく駅まで出てきたのだから。。。と
つい、電車に乗ってしまう。

電車に揺られながら
行き先を考えた。

(言うまでもなく私は。。。
 計画性ゼロのアバウトな性格である。)

たまには、お気に入りの
生活雑貨の店へ行こうと思いついた。

見るだけだけど。。。
ストレス発散になるし。。。

だが、そのお店で。。。
気になるものを発見してしまった。

オルゴールボール。。。

と銘打って、並べてあるペンダント。。。
耳元で振ると。。。音がするらしい。

宣伝用のポップには。。。

「星の降る音が、聞こえます。」

えっ。。。

星の降る音がするの???

それは、さぞかしいい音がするに違いない。
ためしに、耳元で振ってみたが。。。
箱に入ったままだと、どうも上手く聞こえない。

私は、若い頃のバンド活動が祟って
少々、難聴気味。。。

聴きたい。。。星の降る音。。。

ちょっと、迷い始めた。

欲しい気がする。。。
欲しいかもしれない。。。
欲しいなぁ。。。

気持ちはどんどん膨らんでいく。。。

無駄遣いへ。。。まっしぐら???

いや。。。もう少し、冷静になって考えよう。
こんなことで、お金を使っていたら、
パソコン貯金は……いつまでたってもたまらない。
今度は絶対、赤いパソコン。。。買いたいんだから!!!


店内には、いろいろな形の
オルゴールボールが並べられていた。

その中で、ひと際目を引くデザインを発見!!![目]

なんと!!!地球の形。。。

星の降る音のする。。。

地球を首にぶら下げて。。。

街を歩く!!!

いいかもしれない。。。
うぅ~ん……絶対、欲しい!!!

まけた。。。まけた。。。完敗だ。。。

この買わせ上手な売り文句。。。

無駄遣いは決定。。。(ノ_-;)ハア…

買っちまった。。。


これが、そのオルゴールボール。


地球.jpg



家に帰ってから。。。
耳元で振ってみたら。。。

星の降る音がした。。。

・・・・・・・・・・・・・・・・んっ???


そういえば。。。星の降る音って
今まで一度も聞いたこと無いんだけど。。。
この音で正解?

まっ。。。いいか。。。

とにかく、これが。。。星の降る音さ!!!

……っていう事にしておこう。。。

今度の休みは。。。

星の降る音のする。。。
地球を首にぶら下げて。。。
街を歩き回っている私。。。

。。。素敵な休日になりそうである。[ハートたち(複数ハート)]


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胡桃 [エッセイ]

日本に自生している胡桃の多くは
オニグルミと呼ばれる
殻の堅い胡桃で。。。
なかなか手では割れない

とんかちとかクルミ割り器などを使って殻をわり
中の仁を食べるのが一般的

子供のころ、家の近くの山に胡桃の木があった
よく、落ちている胡桃を拾いに行ったものだ

胡桃の木がある場所を友達に教えてしまうと
みんなに先に拾われてしまって
自分の分がなくなるので
友達にはもちろん、場所は教えない

たとえ、可愛い弟と言えど同様である
つまるところ、私はその場所を
誰にも教えたくなかったのだ

胡桃とニッキとざくろの木の在りかは
子供の私にとってのトップシークレット!!!
ずいぶんと欲張りな子供だった(笑)

実は、今住んでいるところの近所の崖にも
胡桃の木がある
さすがに今は。。。
拾って食べようとは思わない

拾った胡桃を自分で割って食べるより
もう食べるだけになって。。。
おまけに塩味までついている胡桃が
おつまみ用としてコンビニとかで売っているので
そちらを選ぶ

最近の子供たちもなぜか
胡桃はあまり欲しがらないようだ

どちらかと言えば。。。

胡桃の木の隣に、やはり自生している
桑の実のほうが魅力的らしい。。。
危ないのを承知で
桑の実欲しさに
急な崖を怖々下っていく子供の姿を
何度か、目にしたことがある
ハラハラしながらも
やはり子供はいつの時代もたくましいと
ちょっと、感動 クスクス(´艸`o)゚.+:

(よいこのみんなは、まねをしないでね。)

っで。。。

落ちた胡桃を狙うのは。。。

何を隠そう。。。からす.gif
からすである

この辺りは、カラスが多く
その食欲と図太さには舌を巻く

たとえば、落花生畑。。。
出来た落花生を引き抜き、畑に敷き詰める
湿った落花生をちょっとの間、天日で乾かすのだ

すると。。。

どこからともなく大量のカラスが現れる
人がいるときは。。。
近くの電線に並んで止まり
じっと。。。
落花生を頂くチャンスを狙っている
電線がたわんで
切れるんじゃないか???
と思うくらいの数のカラス。。。不気味だ

そばを通るのも怖い感じ

農家の人も
カラスに食べさせるために
落花生を作っているわけではないので
大きなバルーンをつるしたり。。。
カラスが嫌いだと言う黄色のスズランテープを
畑中に張り巡らせたり

ある時は。。。

空砲をならして!!!
カラスを追い払ったり
必死の攻防戦

カラスは、一度は飛んで逃げるが
またすぐに現れる

人間VSカラス

ずっと昔から続いているこの争い
勝敗は。。。いまだについていないようだ

おっと。。。
胡桃の話だったね

話がそれて、ごめん

カラスは胡桃を食べたいのだけれど
その殻は堅くて
カラスの強靭なくちばしをもってしても
なかなか割れないらしい

そこで。。。

カラスは考えた
どうすれば。。。胡桃が食べられるか?

カラスはひらめいた!!!
(。。。のだと思う。。。)

胡桃の落ちる場所は。。。バス通り。。。

道路の端に転がっている胡桃を
車道の真ん中にくわえて持っていく

これで準備完了

胡桃を車道に置いたら
自分は、道路の端に退却

バスが来る。。。バス.jpg

バスは、車道に置かれた胡桃を
見事に轢いていく

当然。。。胡桃が割れる

その割れた胡桃を
カラスは食べているのだ

バスまでも道具に使う
カラスの賢さって。。。スゴイ。。。
敵ながら、あっぱれである


ある日。。。

買い物帰り、そのバス通りを歩いていると
なんだか、黒いものが
ふわふわと舞っているのに気がついた

なに?

よく見ると。。。カラスの羽根

そして、その先の道路に
カラスがペシャンコになって貼りついていた
まわりには。。。
黒い羽根がいっぱい

うわぁ~。。。轢かれたんだ。。。


そう。。。

胡桃を車道に置いたあと。。。
すぐにバスが来て

たぶん。。。
逃げ切れなかったんだと思う
さすがのカラスも
バスの時刻表までは読めないよね

「カラスはやっぱり、馬鹿だなぁ。。。」

そう呟きながら
悲しくなった。。。



今回の。。。原発の事故が起こった時
私は、あの轢かれたカラスの事を思い出した

人間は
核を便利に使おうとして
使いこなせたつもりになって
こんなに大きな事故をおこした


それはまるで

バスを便利に使おうとして
使いこなせたつもりになって
轢かれてしまったあのカラスと
何にも変わんない。。。

そんな気がした

「人間もやっぱり、馬鹿だなぁ。。。」

そう呟きながら
悲しくなった。。。


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