卒業 [エッセイ]

ヘッダー 花.jpg
以前。。。
友人が、ホスピスに入院していた

癌が見つかった時には
もう。。。いろんな場所に転移をしていて
手術も出来ない状態だったそうだ

抗がん剤と
放射線で。。。
延命は望めたが

かなりの副作用が伴う

彼女は、最期の時間がたとえ短くなっても
自分らしく過ごすことを選んだ

その答えが。。。ホスピス


なるほど。。。
彼女らしい選択だった

何度かお見舞いにもいった

何度目かのお見舞いに行った時
彼女が言った

「仲良くしていた隣の部屋の人が
 昨日、退院したのよ。」

「そう。。。よかったね。」

私は、深く考えもせず
そう答えた。。。

「次は。。。私の番かな。」

彼女は、そう言って笑った

その笑顔を見て、ハッとした

……ここは、ホスピスだった。。。

ここを退院されたってことは、すなわち。。。
亡くなられたということだ

それを、「よかったね」。。。なんて言ってしまった
口から出してしまった言葉を
今すぐ、口の中に押し戻したいと本気で思った

でも。。。それはむりなこと

顔が。。。後悔で。。。
歪んだらしい

そんな私を見て。。。
彼女は慌ててこう言った

「気にしないで良いのよ
 仕方がないことなんだから
 それに、ここにはいることは
 自分で決めたこと。。。
 短い時間で一生分の
 濃い人生を送るつもりでさ。。。」


彼女を励ますつもりだったのに
逆に、慰められている自分が嫌だった


彼女は。。。
戦うことより
生きることを選んだ

考えて、考えて。。。さらに考えて。。。
そうしてようやく出した答え



ホスピスは。。。
積極的な治療はしない

痛みをとることが
ここの治療だと言っても良い

だから、確かに動けるうちは
自分の時間を自由に使える



でも、ここにいれば
常に死と向かい合わせの恐怖を
感じずにはいられないだろう

誰だって
どんなに強い人だって
怖くて仕方がないはずだ


あの頃、彼女は
凛として生きていた

それは間違いない

でもきっと。。。何度も何度も
恐怖に震えたに違いない

私には、言わなかったけど
そんなそぶりも見せなかったけど


「ここではね。。。
 亡くなって退院した人のことを
 卒業していった。。。っていうのよ
 ここで、人生を卒業して
 天国へいくのね。。。
 私も悔いが残らないように
 ちゃんと生きなくっちゃ。。。
 もうあまり時間がないんだもん
 卒業までに。。。」


……返す言葉が見つからなかった



励ましの言葉も慰めの言葉も
気休めも嘘も
彼女は求めていないような気がした

こんなときは。。。
なんていえばいいんだろう。。。
どんな言葉が彼女を支えるんだろう。。。


結局。。。

「そっか。。。」

そう答えただけ。。。


心の中で。。。
たくさんのガンバレをおくりながら。。。



そんなことがあった2ヶ月後に
彼女は。。。
そのホスピスを卒業していった。。。


彼女は、ホスピスを卒業して
神様から。。。翼をもらったんだ。。。
菊.gif


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