手術前夜~回想記~ [エッセイ]

はじめに。。。

このエッセイは、何年か前。。。のお話
今は、いたって。。。元気ですので
ご心配にはおよびません。。。

病気は、しないのが一番ですけど
ただ。。。
病気になって初めて
自分自身を振り返ったりもするもので

そんな時に書いたものです。。。

喉もと過ぎれば。。。

こんなことを思ったなんてことを
つい忘れて
またまた。。。ずるずると毎日送っておりますが
ひさびさに。。。
日記を整理していて
見つけました。。。

明日は。。。言おうかな

ありがとっ。。。て

そんな気持ちになったので
ここにも載せておこうかと

こういう気持ちは
忘れないようにしないと。。。(汗)






 「手術前夜」


ちょっぴりお腹が痛いので
珍しく病院へ行った。
MB900239657.JPG

驚いたことに

「明日、緊急手術になります。このまま入院して下さい。」

と言われてしまった。

入院準備もしていなかったので、
 
「一度、家に帰っても良いですか。」

と尋ねたら、医師は首を横に振る
 
「なるべく動かないほうがいいので、家へは帰れません。」

とかなりの重症らしい。
病院内の移動さえ車椅子だ。
仕方が無いので、覚悟を決めた
 
「手術に、絶対大丈夫という事はありません。」

あっけらかんと医師は言う。
さっき、難しい手術では無いと言った
その舌の根もかわかぬうちに・・・。
それも又、仕方の無い事なのだろう。
(それでも、絶対大丈夫と嘘でも言われたいものだが・・・)
 
手術前夜。

MB900359059.JPG

見慣れぬ病室でひとり。
言い知れぬ恐怖がやって来る。
麻酔をかけられ眠りについたら
そのまま二度と目覚めない・・なんて事もあるかもしれない。
そう思ったら、色んな事が気にかかる。
 
今日は、娘の遠足だった。
朝、お弁当を持たせて、笑顔で見送った。
MB900421220.JPG
帰宅した時、私が入院した事を知って
彼女は不安な夜を過ごしてはいないだろうか。

私がこのままいなくなったら
放り出したままの洗濯物は誰がたたむのだろう。
(そんな事、どうでもいいのに・・・。)
MB900038670.JPG 

それに、私には伝え残している言葉がある。
今まで思っているだけで
つい言葉にしてこなかった感謝の思いの数々。
照れていないで、言っておくべきだった

「ありがとう」と。

考えている間に、さっきのんだ睡眠薬がきいて
そのまま眠りに落ちて行った。

ハートライン.gif

手術後。
目が覚めた私は
自分の存在にほっとした。

そして思う。

あたらしい日記でも始めようかと。
伝え残したありがとうを綴る為に。
MB900215463.JPG

それは娘が私の元に生まれてきてくれた事に。

それは夫が私の我儘につきあってくれてきた事に。

それは両親が私をとても大切に育ててくれた事に。

それは友人が私の愚痴をずっと聞き続けてくれた事に。

明日という日に
何が起こるかは、誰にもわからない。
伝えるべき言葉は、早めに伝えておくべきなのだ。
だけど、面と向かって言うのは
なかなか照れくさいこの言葉。

なら。。。

今のうちに日記の隅に隠しておく。
これはなかなか、いいアイディア!!!

今回みたいなことが
いつまた、おこらないとも限らない。

私を囲む愛おしい人達にあてて
まだまだ続くはずのこの人生に
後悔だけは残さないように・・・。 


だけどさ。。。
本当は照れずに
目を見て言うもんだよ。。。

ありがとうって。。。

MB900223233.JPG

それもだんだん出来るように
そんな努力もしていかなきゃね。。。

そんなことを思いながら
私は新しい日記帳を買った。

そして。。。とりあえず一頁目に

大きな文字で

ありがとう。。。

と書いた。

精一杯の感謝を込めて。。。

MB900222863.JPG


にほんブログ村 小説ブログ 掌編小説へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ

nice!(3)  コメント(11)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 3

コメント 11

haru

私はりこさんに贈ります。心から、であってくれてありがとう。♥♥♥
by haru (2012-07-06 11:36) 

海野久実

なんだかよくわかりますね。
毎年、健康診断の結果を見るのが不安で。
「異常なし」と言う文字を見ると、ほっとして何かを始めたくなる。
エスプレッソメーカーを買って、ラテアートでもやってみようかと思い立ったのも健康診断後でしたね。
しかし、ラテアートは一向に成功しません。
そろそろマシンのせいにし始めている自分がいます。
もう夏なので、一時中断中。


あーなんだか、お話を思いついたので、ここに書いてもいいですか?
っていいと言われなくても書きますけどね(笑)



お父さんが死んだ。
入院してから1カ月。一度も病院から帰れないままだった。
お父さんが先に家に帰り、わたしたちは病室の後片付けをした。枕元の物入れからは洗面用具などと一緒にお父さんの携帯電話と、その説明書が出て来た。
携帯電話は電源が切れていた。

お葬式も終わり、1か月が過ぎた頃。家族で食事中に、わたしの携帯が鳴った。メールだった。
取り出して見ようとすると、テーブルの上のお母さんの携帯も鳴った。そして数秒後にお兄ちゃんの携帯にもメールが来た。
三人で顔を見合わせてからそれぞれメールを開いてみた。
わたしのはお父さんからのメールだった。
「今まで本当にありがとう。あまり何も相談に乗ってやれず頼りない父親だったな」
そこまで読んで、涙でにじんで文字が見えなくなった。
お母さんを見るとやっぱり泣いていた。
「お父さんからよ。ありがとうって。お前と一緒になれて…」
お兄ちゃんも涙をこらえているようだった。
「おやじに始めてありがとうと言われたよ」

「でもどうして今頃こんなメールが届くのかしら」と、お母さん。
わたしは思いついて、引き出しにしまっていたお父さんの携帯の説明書を出した。
広げてめくって行くと一か所、ページが折られているところを見つけた。

【「メールの予約送信」誕生日等に、忘れる事無くメールを送れます】

その説明の文章に赤ペンで線が引いてあった。
ろくにメールも打てなかったお父さんがベッドの上で一生懸命に、説明書と携帯と格闘している場面を思いうかべると、ちょっとおもしろかった。
でもすぐに気がついた。お父さんは自分がもうそろそろ死ぬんだと言う事を確信したからこそ、予約メールを送る事を思いついたんだろうと。
そう思うと、また新しい涙があとからあとからこぼれて来た。

ありがとう。
by 海野久実 (2012-07-07 20:56) 

海野久実

このお話、もっと詰めないといけないところがありますね。
お父さんの携帯の電源が切れてたのにメールが来る?
それはたぶん電源のオンオフを自動でするようにしていたからなんでしょうね。
メールを送信するまでバッテリーを持たすために1日数分だけ電源が入るように。
ひょっとしてメール送信の日までに家族が携帯を解約してしまうかもしれないですし。
いろいろ考えなければちゃんとした作品にはなりませんね。
by 海野久実 (2012-07-07 21:21) 

もぐら

そんな急には怖いですね。
そんなときでもやっぱりお母さんで奥さんなんですね。
女って損だなぁ。(ーー;)
でも感謝できるってとってもありがたいことですね。
そういう気持ちが持ててありがとう、です。
私も忘れないようにしなくちゃ。
by もぐら (2012-07-08 01:01) 

春待ち りこ

>haruさん
私こそ。。。haruさんとの出会いに感謝です。
いつも、素敵な作品。。。
そして、チャレンジ精神。。。
細やかな心遣い。。。
もうもう、感激することばかり!!!

こちらこそ。。。
であってくださって。。。
本当にありがとっ♪
by 春待ち りこ (2012-07-09 14:36) 

春待ち りこ

>海野久実さん
おぉ~。。。
ちょっと、切ないお話ですね。
メールかぁ。。。死んだ後に届いたら
絶対泣きますね。。。
あっ。。。
予約投稿で、ブログ更新なんてのもアリですよね。。。
それも、何日かに分けて。。。
あぁ。。。でもそれでは、携帯のメールもやっと。。。
のお父さんの素朴さと努力は伝わりませんね。
忘れてください(汗)

ラテアート。。。難しそうですね。。。
さすがに夏は。。。冷たい麦茶がのみたいですよね。(笑)
ひそかに。。。のんびり待ってまぁす。( *´pq`)クスッ
by 春待ち りこ (2012-07-09 14:47) 

春待ち りこ

>もぐらさん
あの時。。。
いきなり、明日手術!!!と言われて
本当に驚きました。
っで。。。
考えることと言えば
どうでもいいことばかり。。。
みんな、夕ご飯は何食べたんだろう???とかね。
ホントに女って、万年お世話係???かも。(笑)

家族に感謝。。。
いつもしているつもりなんですけど
なかなか、言葉にしません。。。
照れるしね。。。
言うタイミングもなかなかないし。。。
まぁ。。。明日でもいいよねぇ。。。なんて

それじゃいかんと思っていたはずなのに
言い訳ばかりの毎日
……反省です。。。((+_+))
by 春待ち りこ (2012-07-09 14:55) 

リンさん

気持ちすごくわかります。
私も入院したことがあるから。
いきなり手術じゃ不安でしたね。
私の先生は、不安にさせるようなことは言いませんでした。
「大丈夫ですよ。失敗したことないですから」と、こんな感じでした。
それでも麻酔から覚めたときは「あ、生きてる」って思いました。
by リンさん (2012-07-09 22:11) 

春待ち りこ

>リンさん
リンさんの先生は、優しい方だったんですね。
入院していると。。。
なんだか自分だけ、違う世界に来てしまった気分になります。
私、どうしてこんなところにいるんだろう。。。って。
開腹手術は、三回程していますけど
慣れませんね。。。いつも、不安で。。。痛くて。。。(T_T)
健康って、大切なんだなぁってつくづく思ったり。。。
元気になったら、あれもこれもやろう!!!と決意したり。。。
でも、なんなんでしょうね。。。
いざ、出来るようになると。。。入院中より長い時間、昼寝してる私って?(笑)
あの頃書いたものを読み返すと、ひたすら反省。。。であります。
by 春待ち りこ (2012-07-10 23:33) 

かよ湖

私も軽い気持ちで病院に行ったら、「放っておいたら1~2時間で死ぬ場合があります」と即入院したことがあります。「洗濯物取り込みに帰っていいですか?」とやっぱり聞いちゃいました。(笑)
それをキッカケに「やりたい事はやろう!」と考えるようになりました。「書くこと」を始めたのもその1つです。
お互い健康第1でがんばりましょうね。
by かよ湖 (2012-07-11 23:50) 

春待ち りこ

>かよ湖さん
そんなことがあったんすか?
びっくりしますよね。
やっぱり、洗濯物。。。気になったんですね。フフッ
でも、そうことがあると。。。
いつでも出来るから、あとにまわそう。。。
と思っていたことをやり始めるきっかけに確かになりますね。
すぐに。。。忘れたりもしますが。。。(笑)

本当に健康って大切ですよね。。。
がんばりましょう。(^^)/
by 春待ち りこ (2012-07-12 14:44) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。