[詩]

随分長く生きてきた
たくさんの人たちと出会って
たくさんの人たちと別れてきた

出会いと別れはずっと繰り返されている
それは、私の人生に打ち寄せる波のようなもの
押しては引き
引いてはまた押し寄せて
こちらが望むか望まぬかにかかわらず
ただただ。。。繰り返し寄せる波

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この世に光なんかない
私には何の価値もない
自分が生きるために
他の命を食べるくらいなら
いっそ死んでしまいたいと
口癖のように呟きながら
リストカットを繰り返してた彼女は
3人の子供を育てあげ
今や、2人の孫の面倒をみながら
死にたかったことなど忘れたように
笑顔で日々を過ごしてる

その笑顔を見ていると
あの頃の彼女が嘘のよう。。。
やっと生きる意味ってやつを
見つけたのかもしれないね
死んだりしなくてよかったね

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いつも冗談ばかり言って
明るくおどけて笑ったあいつ
あんまり楽しそうに生きていたから
ちょっと羨んだりもした
そんなあいつが、ある日突然
翼も無いのに空へと飛んだ
そのまま地面とキスをして
あいつは星になったんだ
住んでたマンションの5階の踊り場に
あいつの靴だけが
なんだかとても行儀よく
二つ並んで。。。おいてきぼり

ホントは悲しかったのかな
ホントは苦しかったのかな
あんなに笑っていたからさ
何も気付きもしなかった
あいつが死んだと聞かされた夜
私達仲間はみんな。。。
あいつの靴と同じように
あいつの心を何も知らぬまま
この世にポツンとおいていかれた

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実の母から疎まれて
家出をしていた少女がいた
話を聞けば、母親は
彼女に暴力をふるうらしい
『このままだったら殺される』
『私は絶対、あんな母親にはならないわ』
そう言いながら泣いていた少女も
今は娘を持つ母親。。。
それでもまだ、泣いているんだよ

泣きながら。。。
泣きながら。。。

娘を殴ってしまったと
電話をかけてくるんだよ
悪いとわかっていても
叩いてしまうその瞬間は
どうにもとめられないらしい

そんな話。。。
どこかで聞いたことがある
携帯を耳にあてながら
私は記憶を探っていく

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あぁあれは、別の友達の話だったっけ
ドラッグに魅入られて
どうにも抜け出せなくなった奴
何度も何度もやめようとして
やめるんだって決意をして

努力してたよ。。。
必死に努力してたよ。。。
だから誰もが期待したんだ
立ち直ると信じたんだ

でも、やっとドラッグと縁が切れたと思った頃に
不意に訪れる魔の時間
その時間が訪れると
ダメだとわかっているのに
そう思えば思うほど
どうにもとめられないらしい
そこがドラッグの怖いところ

難儀なことだ

そして、その友達は今も尚
何度も何度も逮捕され
更生施設に入れられて。。。

そこをやっと出られた頃に
元気な姿で現れる
「今度みんなでピクニックにでも行こうよ。」
なんて明るい声で言ったりするけど
気付くとまた逮捕されてて
約束はずっと果たされないまま。。。

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人は誰でも心の中に
何人もの自分を住まわせている
普段はみんなで上手に分担して
器用に人生を歩んでる

でも、その中のたった一人が道に迷えば
運命共同体だから
他のみんなも迷ってしまう

出会いと別れを重ねるたびに
そんなふうに思うようになった
みんないい奴ばかりだったから
でもみんな。。。
どうしようもない奴ばかりだったから

波のような出会いと別れに
裸足になってつま先つけた

寄せる波には、はじめましてと
この手を優しく差し出して

引いてく波には、さよならと
この手をそっと振ってみる


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随分長く生きてきた
たくさんの人たちと出会って
たくさんの人たちと別れてきた。。。

そしてこれからも
たくさんの人たちと出会うのだろう
出会いの数と同じ分だけ
おそらく別れもあるのだろう

それは波のように。。。
押し寄せては
引いてゆく。。。
たぶん生きてる限り
ずっとずっと繰り返される
出会いと。。。別れ。。。
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